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生産廃棄物に関する法的基本事項

廃棄物及び産業廃棄物の処理に関する法律として『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』というものがありますが(通称『廃棄物処理法』または『廃掃法』)、医療機関等から排出される感染性廃棄物の処理に関しましては、さらに『感染性廃棄物処理マニュアル』というものでその処理手順が事細かく定められています。
医療機関等、感染性廃棄物を排出する排出事業者はこのマニュアルに則った適切な処理が必要となります。 ここではその『感染性廃棄物処理マニュアル』を簡単に説明しています。

医療関係機関等における感染性廃棄物の管理

感染性廃棄物とは産業廃棄物の中の、特別管理産業廃棄物のうち「病院や研究機関などから排出される感染の恐れのある産業廃棄物」のことです。国の定める法律で"医療関係機関等の管理者等は、施設内で生ずる感染性廃棄物を適正に処理するために、特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、管理体制の充実を図らなければならない。"とあります。

また、感染性廃棄物の管理に関する基本事項として、" 処理計画の作成" が求められています。処理計画には以下の内容を記載する必要があります。

  1. 発生状況
  2. 分別方法
  3. 施設内の収集運搬方法
  4. 滅菌等の方法(施設内で処理を行う場合に限る。)
  5. 梱包方法
  6. 保管方法
  7. 収集運搬業者及び処分業者の許可証、委託契約の写し(業者に委託する場合に限る。)
  8. 緊急時の関係者への連絡体制

医療関係機関等の施設内における感染性廃棄物の処理

施設内における処理についてはさらに具体的な手順が定められています。

分別 感染性廃棄物は他の廃棄物と分別して排出しなければなりません。主に医療関係機関等から発生する廃棄物は"感染性廃棄物""非感染性廃棄物""一般の廃棄物"とに分けられ、それぞれ適正に分別する必要があります。
移動 感染性廃棄物の施設内における移動は、移動の途中で内容物が飛散流出するおそれのない容器で行わなければなりません。
保管 感染性廃棄物の保管は極力短期間が望ましいとされ、やむを得ず長期間保管する場合は、容器に入れ密閉すること、冷蔵庫に入れること等、感染性廃棄物が腐敗しないように必要な措置を講じなければなりません。また保管場所は、関係者以外立ち入れないように配慮し感染性廃棄物は他の廃棄物と区別して保管する必要があり、関係者の見やすい箇所に感染性廃棄物の存在を表示するとともに、取扱いの注意事項を記載しなければなりません。
梱包 感染性廃棄物の収集運搬を行う場合は、必ず容器に収納して収集運搬することになっているため、収集運搬に先立ち、あらかじめ" 密閉でき"" 収納しやすく"" 損傷しにくい" 容器に入れなければなりません。
表示 感染性廃棄物を収納した容器には、感染性廃棄物である旨及び取り扱う際に注意すべき事項を表示しなければなりません。非感染性廃棄物を収納した容器には、必要に応じて非感染性廃棄物であることの表示を行うことを推奨するとなっています。
処理 感染性廃棄物を自ら処理する場合は、施設内の焼却設備で焼却、溶融設備で溶融、滅菌装置で滅菌又は肝炎ウイルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒することにより、感染性を失わせなければなりません。一方、焼却設備、溶融設備、滅菌装置を有していない場合、効果的な処理が期待できない場合、完全に感染性を失わせる処理が行われていない場合、周辺の生活環境の保全上焼却設備を稼働することが好ましくないと判断される場合には、特別管理産業廃棄物処分業者等に委託して処理する必要があります。

感染性廃棄物の処理の委託

委託契約

医療関係機関等は、感染性廃棄物の処理を自ら行わず他人に委託する場合は、法に定める委託基準に基づき事前に委託契約を締結しなければなりません。法においては、排出事業者が自らの責任において廃棄物を処理することと定められており、委託処理する場合においても排出事業者は廃棄物が処分されるまでの責任を負うため、委託をする場合には定められた基準を守らなければいけません。その基準とは

  1. 運搬については特別管理産業廃棄物収集運搬業者、市町村、都道府県等に、処分については特別管理産業廃棄物処分業者、市町村、都道府県等にそれぞれ委託しなければいけません。
  2. 医療関係機関等は、感染性廃棄物の処理を特別管理産業廃棄物処理業者に委託する場合は、委託先の処分業者が都道府県知事から感染性廃棄物の収集運搬又は処分に関する許可を有していることを確認しなければいけません。

法では廃棄物処理業の許可権者は次のように整理されています。

取り扱う廃棄物の種類業の許可区分許可権者
産業廃棄物 産業廃棄物収集運搬業都道府県知事又は保健所設置市長
産業廃棄物処分業
感染性産業廃棄物特別管理産業廃棄物収集運搬業*
特別管理産業廃棄物処分業*
一般廃棄物一般廃棄物収集運搬業市町村長又は特別区長
一般廃棄物処分業

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付等

以下『感染性廃棄物処理マニュアル』より

  1. 医療関係機関等は、感染性廃棄物の処理を他人に委託する場合、感染性廃棄物を引き渡す際に、定められた様式による産業廃棄物管理票(以下「マニフェスト」という。)に必要な事項を記入して交付しなければならない。
  2. 医療関係機関等は、感染性廃棄物が最終処分まで適正に処理されたことを、処理業者から返送されるマニフェストの写しにより確認しなければならない。
  3. 医療関係機関等は、前年度に交付したマニフェストに関する報告書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
  4. 医療関係機関等は、定められた期間内にマニフェストの写しの送付を受けないとき、返送されたマニフェストの写しに規定された事項の記載がないとき又は虚偽の記載があるときは、速やかに当該感染性廃棄物の処理状況を把握し、適切な措置を講じなければならない。
  5. 医療関係機関等は、マニフェストの交付に代えて、電子マニフェストを利用することができる。

上記のとおり、業者に処分を委託する場合は、マニフェストを交付し、廃棄物が最後まで適正に処理されたかどうかを確認する義務があります。電子マニフェストとは、現在主流の紙によるマニフェストの電子版で、紙マニフェストよりも効率的、且つコスト削減にもつながる非常にすぐれたシステムで、当社でもこの電子マニフェストへの移行をお勧めしています。

排出事業者の責任

以下『感染性廃棄物処理マニュアル』より

医療関係機関等は、委託基準やマニフェストについて法令上の義務を遵守することに加えて、感染性廃棄物が最終処分に至るまでの一連の行程における処理が不適正に行われることがないように、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

排出事業者は、この部分は必ず理解していなければなりません。廃棄物の処分を委託し、廃棄物が適正に処分されなかった場合、その責任は"排出事業者"にあります。"事業を営む上で発生した廃棄物の処理に関しては、基本的に自らで適正に処分する必要がありますが、その処分を他者に委託する場合でも廃棄物が適正に処分されたかどうか最後まで責任を負わなければならない"ということです。

現在地球のおかれている状況は非常に深刻です。いうなれば、重い病におかされているといっても過言ではありません。 生活を豊かにすることを追い続けるあまり、とても大切なものを失いつつあるのです。事業者が出す廃棄物の中には非常に有害なものが含まれている場合があり、排出事業者はそれを認識し、処分に関して責任をもつ必要があります。われわれが汚してきた地球をもとの健康な状態に戻すため、ひとりひとりの環境に対する認識が非常に大切になっています。